【PQ】ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス レビュー・評価・感想
ニンテンドー3DS専用ソフト、PQことペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンスのレビュー・評価・感想まとめです。
目次
作品概要
ペルソナQはATLASの看板ゲームであるペルソナシリーズと世界樹の迷宮シリーズがコラボした3DダンジョンRPGです。
ペルソナ3とペルソナ4に登場する主要仲間キャラクターたちの中から好きな5人を選びパーティーを組んで、延々と文化祭が続く不思議な学校を抜け出すために迷宮へと挑みます。
いわゆるキャラゲー枠に入る作品ではありますがそのクオリティーは逸品。ペルソナシリーズファンなら間違いなく買いな作品でしょう。
システム面は世界樹の迷宮風に作られていますが、独自要素も強く未プレイでも問題ではありません。
逆に言うと世界樹の迷宮シリーズは触ったことがあるけど、ペルソナシリーズは未プレイだという方は原作ゲーム、あるいはアニメや映画でストーリーを保管しておかないと会話についていけない場合がありますのでご注意を。
ペルソナ・世界樹とここが違う3つのポイント
ペルソナシリーズと世界樹の迷宮シリーズのコラボレーション作品であるこのペルソナQですが、そのシステムは本作品独自のものとなっているため注意が必要です。
大きく違う点として
- サブペルソナシステムの仕様
- F.O.Eとマップデザイン
- 弱点絡みの戦闘システム
これら3点を挙げることが出来ます。
それでは詳しく解説していきましょう。
サブペルソナシステムの仕様
ペルソナQには世界樹の迷宮のスキルツリーは一切存在しません。キャラクターごとに違うのは
- メインペルソナによる3,4種類のスキル
- 基礎ステータス
- 装備武器
この3点。
それではどこでプレイヤーごとの独自的な育成を可能にしているかというとサブペルソナというシステムを挙げることが出来ます。
ペルソナQではペルソナ3,4と違い、女神転生シリーズの悪魔を元にした各種ペルソナを仲間全員自由に付け替えることが可能です。
サブペルソナを付け替えることで
- HPとSPにペルソナ毎の補正
- そのペルソナが覚えている各種スキル
が変化します。
これにより主人公だけで無く、仲間全員の自由なカスタマイズが可能になりました。
このサブペルソナによって補正、プラスされたHPとSPは戦闘終了後回復するというのも魅力的。
HPSP共に+50の補正があるペルソナだとしたら、一回の戦闘で50以下のダメージで終われば無傷のまま次の戦闘を行えますし、50SP以内であれば自由にスキルを使っても消費は実質ゼロ。
そのため一戦一戦を本気で戦えるのがとにかく楽しい。
F.O.Eとマップデザイン
世界樹の迷宮シリーズのF.O.Eと言えばマップ上を徘徊する強敵のこと。戦法次第では倒すことも出来、そのドロップ素材から強力な装備を作り出すことも出来ます。
本作ペルソナQでもそのシステムは変わらないのですが、より強く恐ろしい敵となり、『倒しても良いし、倒さなくても良い』というものからどのように避けて先へ進むかというゲームデザインに変化しました。
そこで重要になってくるのがマッピングした地図。
これまでの世界樹の迷宮のマッピングシステムはオートマッピングと何も変わらないただただ面倒なだけの代物だったのですが、ペルソナQではF.O.Eの軌道や謎のヒントなど、これは記録しておかなければ!というものが増えたのは大きな改善点。
ペルソナ3,4ではランダムマップだったダンジョンがマップ固定のダンジョンに変わったことも嬉しいですし、ダンジョンの仕掛けなどは世界樹の迷宮シリーズ以上のものに変わりより攻略が楽しい物へと変わりました。
常に舞台が樹海ではなく、迷宮によって見た目をガラッと変えるのも飽きさせない要因の一つです。
弱点絡みの戦闘システム
ペルソナ3,4の戦闘は、相手の弱点を取りダウンさせ一方的に撃破するという流れが主流でした。
ペルソナQでは弱点属性の攻撃、またはクリティカルヒットするとその技を使用したキャラは『ブースト状態』というものに変化。ブースト化は敵から攻撃を受けるか一回行動すると解けてしまうものの、ブースト中はスキルの消費が0になるというメリットがあります。
弱点を取ることでダウンさせることも出来ますが、確実性はなくかなりの運が必要。総攻撃の発動もターン終了時のブースト化している味方の数に応じて一定確率で発動と、確実性が無くなり弱点を狙うメリットが減ってしまいました。
ブーストが相手の攻撃によって解除されてしまうことも弱点を狙わなくても良い要因。相手の全体攻撃スキルであっさりと解除されてしまうため、
アギ・ブフといった属性スキルの消費SPも多いため、属性技で弱点を付くのであればHP消費の物理技で戦い、消耗したHPをSPで回復するのが一番楽、というバランスです。
理想的なキャラゲー
ゲーム本編やシステムが丁寧に作られているからこそ、キャラゲーとしての部分がより際立っています。
作品の垣根を越えたキャラ同士のやりとりが本編以外にも『校内散策』として用意されています。これは見ても良いし見なくても良い会話イベントなのですが、ペルソナ3,4プレイヤーはまず必見。世界観を壊さない程度のメタネタもあり笑わせてくれます。ギャグのキレもテンポも良かったのには安心。
もちろん笑いだけでなくキャラクターの成長もしっかりと描かれており、特に天田乾と巽完二の二人はかなり掘り下げられました。二キャラクターのファンは間違いなく買いでしょう。
キャラクターたちも迷宮探索時、戦闘時など非常によく喋ります。全員分全パターンを見ることが出来るのか!という程多彩なボイスが収録されておりとにかく飽きません。
またキャラクターの組み合わせによって、戦闘時に特殊な掛け合いが入るうえシリーズの垣根をも越えた組み合わせもあるのだから面白い。一度聞いた掛け合いがいつでも聞ければより良かったのですが…。
強いて難を挙げるのであればスキル間のバランスか
プレイしていて気になったのがスキル格差。HP消費スキルとSP消費スキルの間には決して埋めることの出来ない大きな格差が開いています。
理由を一言で言ってしまえばHPはSPを消費して回復できるがその逆は出来ないということ。それにくわえて各キャタクターのSPの低さ、そしてスキルの消費SPの多さが原因として挙げられます。
物理特化のキャラがHP消費技を使い攻撃するのと、魔法特化のキャラがSP消費技で叩くのではダメージは対して変わらないどころか、スキルが豊富である物理技のほうが大ダメージを与えられることの方が多いのです。
結果、『攻撃はHP消費技で、HP回復はSP消費技で』というゲームバランスになってしまっています。
更に弱点を付くメリットが減っていることもスキル格差に拍車をかけています。
このシステムでSPでスキルが息を吹き返すには消費SPを今の四分の一程度にするしかありません。
マハンマオン・マハムドオン祭り
SP消費技全てが役に立たないわけではありません。全体即死技マハンマオンとマハムドオンは非常に強力。
むしろこの技さえあれば雑魚敵に対策は必要ないというほどにオーバーパワーなスキルです。
消費SPを越える補正を持ったサブペルソナにこれらの即死技を覚えさせてしまえば、後は全員が即死技を使用するだけ。例え耐性を持っていても5人がかりならまず間違いなく倒せますし、例え片方の属性が無効でももう片方は弱点だったりするケースが多いため、F.O.Eやボス以外の敵には必ず使える戦法です。
結果、雑魚戦は駆け引きの無い戦闘バランスとなってしまいました。もちろんこの2スキルを自ら封印すれば話は別なのですがそれも違う気がします。闇光反射など、即死一辺倒な戦い方では通用しないような相手が欲しかったです。
周回プレイには向かないダンジョン構成
ダンジョンの仕掛けは非常に面白く、解き甲斐のある構造をしているのですが周回プレイ時にはただただ面倒なものになってしまいます。
隠しボスと戦うためにはデータを引き継いでP3主人公、P4主人公ルートの二人の主人公でゲームをクリアしなければなりません。ですが、各ダンジョンがそれぞれしっかりと作られているため二周目といえど結構な時間がかかってしまいます。
それに拍車をかけるのがF.O.Eの存在。どのF.O.Eも下準備・対策が必要な強敵であるため、結局はマップを丁寧に攻略したほうが早い場合も。
これは二周目だけの欠点では無いのですが、高いエンカウント率・戦闘のテンポもクセモノ。戦闘速度をオプションから最速にしても遅めの戦闘スピードなのはガッカリ。消化試合を見ているだけという時間が多くなってしまうのも残念でした。
エンカウントを無くす消費アイテムもあるにはあるものの、効果時間が少し短すぎる気がします。
今挙げた不満のほとんどは二周目からのものですので、初プレイ時には気にならないかと思われます。
ダンジョンゲーだがアイテム収集ゲーではない
これはペルソナQだけでなく世界樹シリーズもそうなのですが、3DダンジョンRPGではありますがWizardryのようなアイテム収集ゲーではありません。世界樹シリーズのような特殊レアドロップ素材も減り、アイテムコンプリートは比較的容易な作品です。
また世界樹の迷宮シリーズのようにアイテム所持制限・倉庫制限があるのですが、倉庫制限は撤廃しても良かったのではないかと思います。
ペルソナQではペルソナから抽出したスキルカードもアイテム枠に入るため、倉庫の空きスペースが常にカツカツな状態。せめて99枠ではなく255枠欲しかったところです。
基本的に一部非売品アイテムを除けば店で購入できるため売る勇気があれば大丈夫。私のようにアイテムを使わず貯めこんでしまう人は少々不満に思うところがあるでしょう。
総評
ペルソナ3、ペルソナ4ファンは間違いなく買って損はありません。逆に言うと、3と4どちらかしか知らない人は面白さも半減してしまうのが人に薦めにくい作品でもあります。だからこそ3も4もプレイしてきた人間がこのペルソナQをプレイしないのは非常に勿体無い!
更に後期発売のペルソナ3ポータブル、ペルソナ4ゴールデンの新キャラであるテオドアやマリーも登場するため、このペルソナQというゲームを芯から楽しむためにはライトプレイヤーにとっては敷居が高いのが残念。
ペルソナQ独自のストーリーも起承転結がはっきりしているうえ張られた伏線などもあり、私は本編シナリオよりも好みです。どうせパーティーには入れないだろうと思っていた新キャラクターである善と玲にここまで愛着が湧くとは発売前は考えられませんでした。
戦闘システムが世界樹よりになり所謂プレスターンバトルでは無くなりましたが、各種封じ技(世界樹で言う縛り技)や状態異常がより強力になり、F.O.E・ボス戦の駆け引きはなかなか熱いものがあります。仲間がサブペルソナを装備できるようになったことで戦略を立てやすくなったことも面白さの一つでしょう。
全ペルソナシリーズと全世界樹シリーズを合わせてた中でも五本の指に入るほどの名作ゲームでした。シリーズファンはぜひ手に取ってみてください。
ペルソナQはこんな人にオススメ!
- ペルソナシリーズ、特に3以降のファンだ。
- 仲間のペルソナも付け替え可能という所に魅力を感じる。
- P3、P4のキャラ同士の掛け合いを見たい。
- ダンジョンで頭を使い仕掛けを解くのが好きだ。
ペルソナQはこんな人には向かないかも…
- P3,P4のようなプレスターンバトルが好きだ
- 世界樹の迷宮シリーズのマッピングシステムが好みではない
- P3,またはP4を未経験でアニメ等も見たことがない
- 戦闘のテンポが悪いゲームは触りたくない