無双OROCHI2 Ultimate レビュー|猛将伝とは違う!?まさにアルティメット
PS3,Vita専用ソフト、無双OROCHI2 Ultimateのゲームレビュー。
目次
作品概要
無双OROCHI2 Ultimateは、にコーエーテクモより発売された無双シリーズ最新作だ。PS3版とVita版が同時発売され、前作のセーブデータをそのまま引き継ぐことが出来る。
無双OROCHIシリーズは時代・作品の壁を超えて英雄達が集まり一つの敵に立ち向かうという物語で、三国志や戦国時代の出来事がストーリーの元となっている三國無双シリーズや戦国無双シリーズとは違い、オリジナルのストーリーとなっている。
登場するプレイアブルキャラクターは140人以上。三國無双、戦国無双の二作品のキャラのみならず、OROCHIシリーズ限定のオリジナルキャラクターや他作品からのゲストキャラクターまで登場する賑やかなお祭りゲーだ。
本作は無双OROCHI2を元に
- 新ストーリーの追加
- 新武将・コラボキャラの追加
- 新武器・新アイテム追加
- 新モードの追加
などなど、数多くの新規要素が追加されている。マイナーチェンジ版である猛将伝と違い、前作が丸々収録された新作と考えても問題が無い。
一ジャンルとして確立されたアクション
マンネリ化や草刈りゲー等と言われてはいるが、いまやジャンル名となった無双アクションゲーとしてはやはり最高峰。簡単操作で大勢の敵を薙ぎ払う様はまさに無双。戦場の数も多少水増し感を感じてしまうものの、歴代一。ステージも地名こそ歴代と同様だが世界が融合している設定の為、姉川に高層ビルが立ち並んでいたりと笑ってしまう。まさか自由の女神像の下で戦うことになるとは思わなかった。
OROCHIシリーズの特徴として、シリーズでも随一の敵兵のわらわら感が挙げられる。もちろん本作でも健在で、攻撃を繰り返しているだけであっという間に撃破数が1000を超えるのは気持ち良い。
しかし残念なのはVita版。処理上の問題なのか、敵兵がいるにも関わらず、姿が見えず、かつ攻撃も通らないステルス兵が大量発生してしまう。雑魚兵だけでなく敵武将までステルス化してしまうため、高難易度ではミニマップを注視しつつ敵の奇襲に備えなければならないのは結構なストレスになる。
最適化されていないVita版の操作
そしてVita版には背面スライドパッドまたはタッチの強要というもう一つのストレス要素が存在する。本作では武将を3人まで選び、戦闘中に適時入れ替えながら戦っていくことになるのだが、武将入れ替えの操作方法が背面をフリック、または画面のタッチの二種類しか存在しないのだ。
- 反応が妙に鈍くすぐに入れ替えることが出来ない背面スライドパッド
- 反応が良すぎるためすぐに暴発してしまう画面タッチ
どちらも同じくらい使いにくい。
この作品には合体技が存在する。強力かつ、この技で敵を倒すことで強力な武器購入に必要な玉が手に入るという大事なシステムなのだが、発動方法は
- 背面の左右を同時にフリック
- 画面左右を同時にタッチ
の二種類のみ。ここでも不便な操作を強要されるのだ。
ここで困るのが操作方法がキャラクター入れ替え操作と被ってしまっているという事。消化試合となった戦場で合体技を出そうとした際に操作が暴発、レベル1のキャラへと入れ替わってしまい一撃で倒された時はVita本体を投げたくなる衝動にかられた。
操作面でVitaに最適化されていない部分が多すぎるのがこの作品一番の不満だ。
VitaとPS3ではグラフィックにも大きな差が
ハードの差は操作面だけでなく、グラフィック面でも感じてしまう。キャラクターのモデリングはもちろんのこと、中でも酷いのが水の表現だ。クリアに表現されているPS3版と違い、Vita版では灰色一色で塗りつぶされている。
グラフィックには目を瞑るとしても、歩ける場所、泳げる場所、通れない場所の差がミニマップを注視しないと分からないのはどうなのか。水上、水中で敵を撃破した際にドロップアイテムが見えなくなってしまうのも困る。
豪華なゲストキャラクターたち
三国武将と戦国武将が共に戦うだけでも豪華(?)ではあるのだが、本作ではゲストキャラクター、すなわち他作品のキャラクターまでもが登場する。
前作では、会社が合併しコーエーテクモへと変わったことで、リュウ・ハヤブサ、あやねといったテクモのキャラクター達が出演していたが、本作では更にバンダイナムコのソウルキャリバーからソフィーティア、またガストが傘下となったことでロロナのアトリエからステルクまでもが登場。
混沌としているものの、元々お祭りゲーなだけあってさほど違和感が無いのは笑ってしまう。作品の垣根を越えたキャラクター同士の会話が多いのも好印象。
少々残念なのは無双シリーズからの登場武将。ベースが2年前に発売された無双OROCHI2であるため、それ以後に発売された真・三國無双7や戦国無双クロニクルの新武将のほとんどが登場しない。なぜか除庶は登場するのだが…
引継ぎ前提の高難易度 アンリミテッドモード
本作の目玉として新たに追加されたアンリミテッドモードだが、引継ぎ前提ではないのかと疑うほどの高難易度に設定されている。徐々に強くなると同時にドロップの質も多くなる武将を倒しつつ、出口から脱出するのがアンリミテッドモードの主な流れとなるが、初期レベルでは出口をすぐに目指すだけでも辛い。多少戦えるようになったとしても、良いアイテムを入手するためには強い敵を倒さなければならないため、レベル80前後かつ強力な武器を持ったキャラが一人は欲しい。
素直に引き継げば話は早いのだが、ここで問題になるのがXBOX360ユーザー。ハードの壁は越えられなかったようで、残念ながら引継ぎをすることが出来ないのだ。私も前作はXBOX360でプレイしていた為、涙を呑んで一から新規スタートすることになってしまった。
とは言っても今作はかなりレベル上げが簡単になっている。一戦闘毎に、自由に割り振ることが出来るストック経験値を獲得することが出来る他、武将が稀に落とすあるアイテムを拾うことで、一定時間敵が必ず経験値獲得アイテムを落とすようになるため、一回の戦闘で5レベル以上上昇することがざらにある。
多少出遅れてしまうものの、新規ユーザー・XBOX360ユーザーは引継ぎ無しでも問題なくプレイできるので安心してほしい。
転生 更なる強化のために
本作で新たに追加された転生システム。レベルが最大になったキャラを再びレベル1に戻すことで、様々な恩恵を受けることが出来るようになる。転生は最高3回まで行うことが可能で、最強キャラを作るためには避けては通れない。
まず一つ目がスキルの追加。
一回目の転生時に武将に新たなスキルが追加される。新スキルの熟練度は当然Gからのスタートではあるものの、パーティー全体に効果を及ぼすものが多いためなかなか侮れない。アンリミテッドモードは5人パーティーとなるため単純計算で10個分の効果を得ることが出来る。なお転生時にスキルの熟練度はそのまま引き継がれるため安心してほしい。
二つ目は装備アイテム枠の追加。
一回目、二回目の転生時に2枠ずつ追加される。ステータス上昇アイテムの装備効果はかなり大きい他、今作から新たに追加されたアイテムにも有用な物が揃っているため、なるべく早い段階で全解放しておきたい要素。特にアンリミテッドモードで高難易度のダンジョンに挑む場合は必須と言っても過言では無い。
最後に成長玉の獲得。
一回目の転生以後、1レベル上昇毎に1個の成長玉を獲得出来るようになるのだが、この成長玉を消費することで、武将のステータスを好きなように上げることが出来るのだ。成長玉を使って上げたステータスは転生後も下がることがないため、一度も転生をしていないキャラと限界まで転生したキャラでは、同じ100レベルでも成長玉297個分、ステータスにして594もの差が生まれることになる。レベルアップでは上昇しない素早さの値を増やすことが出来るのも魅力的。
但しこの転生機能はエンドコンテンツであるアンリミテッドモードのために調整されている。限界まで転生をしたキャラはストーリーモードではかなりのオーバースペックとなってしまう点には注意が必要だ。とは言えキャラ総数を考えると、強化しすぎたばかりにストーリーモードが消化試合になってしまう、ということは考えられにくいが。
必要なかったであろうデュエルモード
新たに3対3の対戦をすることが出来るデュエルモードが搭載されたのだが、このモードは本当に必要だったのだろうか。結局のところ対戦システム自体がいつもの無双のままなので、駆け引きがあまり存在しない。
ストーリーモードで条件を満たすことで手に入るカードを組み合わせ特殊効果を発動したり等の独自システムはあるものの、結局のところ最初の一発で勝負が決まることが大半。そもそも同期がずれる、マッチングしないという根本的な問題が。
正直このモードに欠くリソースを他に回して欲しかった。カードの収集は確かに楽しいもののこのモードでしか使用できないとあっては蒐集欲も半減してしまう。
総評
冒頭でも述べたように単なるマイナーチェンジ版ではなく、かなりのボリュームの要素が追加されていることはユーザーとしては嬉しい限り。追加モードだけでなく、ストーリーモードに関しても倍近くの物語追加があったことには驚いた。新規プレイヤーはもちろんのこと、前作プレイヤーもがボリュームを実感できる。
Vita版には操作面・処理面で不満は残るものの、やはり携帯機で遊べるのは魅力的。討鬼伝の時はかなりのフットワークの軽さを見せてくれたので、本作でもアップデートで治る可能性は十分にある。キャラ入れ替えボタン、合体技ボタンを画面上に表示してもらえるだけでも大分変るとは思うのだが…
ストーリーは完結はするものの、いくらでも続きを作ることが出来るような終わり方だったため、今後にも期待できそう。始めはどうなることかと思ったコラボキャラは良い味を出していたので、今後も引き続き登場して欲しい。
仕事や学校、普段の生活でストレスを感じている方はこれを機に無双OROCHI2 Ultimateの世界を訪ねてみるのはどうだろうか。