GOD EATER2 レビュー
PSP,Vita専用ソフト、GOD EATER2のゲームレビュー。
目次
作品概要
ゴッドイーター2はバンダイナムコ販売、シフト開発のアクションゲームだ。モンスターハンターでお馴染みの俗に言う狩りゲーであるが、ゲームバランスは大きく違っており、ゴッドイーター2ではよりスピーディーでスタイリッシュなアクションを取ることが出来る。
武器種が増えて装備の組合せは無限大
使える武器の種類は近距離武器が5種類、遠距離武器が4種類。近距離用の物と遠距離用の物、二種類を同時に装備可能なため、組合せとしては20通りのパターンが存在する。それに加え、防御力を増やす装甲、スキルが発動する強化パーツ、フィールド全体に効果を及ぼすリンクサポートデバイスなどを装備できるため武装パターンの数は計り知れない。
前作同様、防具と服装が完全分離
これまでの狩りゲーの例に漏れず、プレイヤーキャラクターをキャラメイクして自分で作ることが出来る。ゴッドイーター2のキャラメイクの何よりも素晴らしい点は、防御を上昇させる装甲と、見た目を整える服装が完全に分離していることだ。服装はトップス、ボトムスごとかなりの数のデザインやカラーリングが用意されているため、好きなファッションでミッションにチャレンジすることが出来る。
終末感漂う世界観で進む物語
ストーリー面が充実しているのもゴッドイーター2の大きな特徴だ。流れとしては他の狩りゲーと同じくミッション単位で進むものの、ミッション間には多数のイベントやカットシーンが挿入される。大まかな流れとしてはモンスターハンターというよりも、終末感漂う世界観も含め討鬼伝に近いものがある。
滅びかけている地球が舞台であるのは変わらず、新たな脅威として赤い雨、黒蛛病といった災害までもが出現。暗い世界観を彩るフレーバーとして機能している。
王道展開でまとめられたストーリー
レビューするにあたって触れておきたいのが手堅くまとめたストーリー構成だ。
- 仲間がトラウマを克服し血の力が覚醒していく序盤
- ある事件を機に一変する環境
- 真に戦うべき敵の登場
- クライマックス
と、近年逆に減ってきた起承転結がはっきりとした王道展開で進行する。序盤のキャラクターごとの血の力覚醒イベントも面白いほど王道だ。
欠点としてはストーリーの先が読めてしまう事か。こいつは悪役だなと感じたキャラクターは予想通り悪役であり、予想を裏切られる展開はほとんど無かった。
ストーリー進行を妨げる水増しミッション
ミッションをクリアするごとにイベントが進み新たなミッションが登場、基本的にこの流れでゲームが進行するのだが、話が一つ進むまでに5種類前後のミッション数をクリアしていかなければならない。
ミッションの中には、メインストーリーに関わる会話が発生するものもあるにはあるが、基本的にはぶつ切りの単発ミッションであるためやらされている感を強く感じてしまう。
イベント一つ一つが盛り上がってくる終盤になると、これらの水増しミッションに出現する敵アラガミもタフになってくるため、余計に時間がかかるようになるため、やる気をそがれてしまうことがあった。
キャラクターエピソードによって掘り下げられる仲間面々
ゴッドイーター2にはメインストーリーとは別に、キャラクターエピソードと呼ばれるキャラクター個別のストーリーが追加された。
メインストーリー進行、フリーミッション同行回数などの条件を満たすことで、仲が深まりイベントが少しずつ進行していく。イベントクリアに応じて、そのキャラの戦闘中の行動が増えたりなどのメリットが存在する。
戦闘面でのメリットだけでなく、キャラクターの掘り下げが出来るのもキャラクターエピソードのメリットだろう。特に前作の極東支部組はメインストーリーに出番があまり存在しない。極東支部組かつ新キャラの人達は本編での出番は少ないものの、キャラクターエピソードは作り込まれており、目立っていないということは無かったのがとても好印象だった。
何より一番の利点は、メインストーリーと違い進行が任意である点だろう。フラグさえ立ててしまえば好きな時に進行させることが出来る。
オペレーターによるアナウンスで臨場感が増加
ゴッドイーター2ではミッション中状況に応じてオペレーターが情報を発してくれるようになった。結構な頻度でアナウンスが入るため臨場感の増加に一役買っている。
会話のパターンも多く、オペレーターも二人から選択可能であることも嬉しい仕様だ。
このシステムのおかげかオペレーターの二人。フランとヒバリにはキャラクターエピソードは無いものの、キャラが薄いという印象は抱かなかった。
新たに追加された3つの武器種
ゴッドイーター2では近距離武器としてブーストハンマー、チャージスピア。遠距離武器としてロケット弾を発射するブラストが追加された。
近接の武器属性が分かれたことによって、パーティープレイでの役割分担がしやすくなったのは大きな変更点だろう。遠距離攻撃もシステムが一新され、ほとんど違いが無かった従来の武器種も全くの別物として生まれ変わった。
ブラッドアクション・バレットでアクションに華を
追加されたのは武器種だけではない。武器種ごとにブラッドアクションと呼ばれる新アクションが多数追加された。一つだけを装備することが可能で、装備することで特定のアクションが装備したブラッドアクションへと威力・モーション・効果が変化する。
効果は一言で言ってしまえば地味な物が多いものの、射程が伸びたり吸収効果が付いたりと戦闘への良いアクセントとなっている。
ブラッドバレットは遠距離用のブラッドアクションだ。と言ってもアクションが変化するのではなく、使用可能なバレット効果が増えていく。使えるようになった特殊効果を持つバレットはバレットエディットにも使用可能なため、過去作品からのエディターの方は大満足できること間違いない。
武器強化に立ちはだかる複合コアの壁
ゴッドイーター2の武器強化には、敵アラガミの素材以外に複合コアという素材が必要になった。この複合コアを作るためには、アラガミの素材ごとに設定されているコスト値が既定の値以上になるように、素材を合成する必要があるのだが、これが武器強化の大きな壁として立ちはだかっている。
序盤使うことになる複合コアに必要なコスト値は、5や25と少ないためなんとかやりくりできるものの、問題は中盤から。必要コスト値が50まで跳ね上がるうえ、低ランクの素材はコストとして使用できなくなってしまう。
そのうえどの武器も強化していく過程でこの複合コアが必須となるため、武器コンプリートを目指していくと尋常ではない数の複合コアが必要になってしまう。
複合コア作成の一番の近道は、店売りの素材を合成してコストに変換すること。金13,000につき1つを作成することが出来る。武器を作るためのお金を稼ぐために、ミッションをいくつもこなしていくのは狩りゲーとしてはいかがなものだろうか。
劣化したバレットエディット
厳密に言えば進化しているものの、モジュール数が激減したことにより、選択肢が大きく減ってしまった。
アサルトに至ってはたったの3枠しか存在せず、最適解以外選択肢が無いような状態だ。
一方ブラストに限っては多数のモジュール枠が用意されており、好きなようにカスタマイずをすることが出来る。新要素ブラッドバレットによって、これまでには無かった付加効果やエフェクトが付けられるようになったため、バレットエディターはブラスト一択と言っても過言では無い。
既に有志の手によってチート級の威力を持つブラスト用バレット等が既に作られている。どうしてもクリアできないミッションが出現した際に奥の手として使っていくことが出来る。アクションゲーム初心者にはブラストを勧めたい。
マルチプレイ時の注意
狩りゲーと言うことで複数人のプレイを想定してゴッドイーター2を購入する方も多いとは思うが一つ注意が必要である。
それは各々がメインストーリーを進めることが前提であることだ。
マルチプレイでプレイ可能なミッションは、クリア済みミッションと各ランクごとに用意されている高難易度ミッションの二種類存在する。受注できるクリア済みミッションは、同じルーム内に居る一番ゲーム進行が遅いプレイヤーに合わせられるため、ゲームを始めたばかりのプレイヤーが一人でもいると大きな制限がかかってしまう。
次にネックになるのが、新しい武器強化・合成のアンロックがゲーム進行に左右されるということだ。
例え素材やお金が揃っていようが、ストーリーを進行させなければ作成することは出来ない。
マルチプレイ時はストーリーを進行させることが出来ないため、マルチプレイだけを楽しむということは出来ないため要注意。
総評
ゴッドイーターは狩りゲーラッシュ初期に台頭したシリーズであるため、過去作の反省点を活かし改善しているのは大きな武器となっている。ゲームバランスは大きく見直されテンポが良くなった。簡単になりすぎたという声もあるが、どちらかと言えば理不尽な要素が減っただけに思える。とは言っても、嫌らしい敵構成のミッションは相も変わらず存在しているため注意が必要。
レビューしていく中で最も気になった箇所はやはり複合コア作成のコストバランスの悪さだろう。一つの武器を作るという結果自体は同じものの、過程が必要な素材を求めて特定の対象を狩るのと、金策効率が良いミッションをひたすら回すのとでは、モチベーションに大きな差が出来る。せめて今の半分になれば…
マルチ前提でデザインされている他の狩りゲーと比較すると、ソロプレイに比重が置かれている作品のため、忙しい社会人にもオススメ出来る。ソロで全部のコンテンツを楽しむことが出来るのは嬉しい仕様だ。
不満点はあるものの、今後の無料アップデートにも期待できるゲームだった。初代と比べると全くの別ゲーと言っていいほど面白い作品へと仕上がっている。